熊本の弁護士法人 リーガル・プロの「不動産のトラブル」

売り主に対して何らかの請求ができるでしょうか。

ご相談ケース6)建物の購入を考えています。色々な物件を見て回り、ここだと決めて買い主と交渉し、代金や内装関係について大まかな合意ができたので、買付証明書と売渡証明書を双方で交わしました。 その数日後、売り主は,どうやらもっとよい条件の買い手を見つけたらしく、そちらと交渉を始めたので、色々と交渉しようとしましたが正式な売買契約の締結には至らず、結局別の買い主に売り渡したようです。 私は、その建物で事業を開業するつもりでしたが、これを断念せざるを得なくなりました。売り主に対して何らかの請求ができるでしょうか。
回答)正式な売買契約が締結されていないので、契約の成立を主張することは困難と思われます。ただ、契約当事者として、交渉を進め、買付証明書や売渡証明書を交わしたことなどから、契約締結に向けた信頼が形成されています。そこで、契約締結上の過失という構成で、売り主に損害賠償請求ができる可能性があります。
その際、どの程度の金額ができたかについては、買い主が契約締結を信じて拠出した費用(信頼利益といいます。)を前提として、あとは契約に向けた成熟度(どこまで契約締結に向けて交渉が進んでいたか)によって変動するものと思われます。